"小倉 さて、その後いよいよデビューして、自分のレコードが作れるようになるわけですけど。どうでした?
岡村 いろんな出来事がありましたね。まず、僕は作曲でデビューしたので、自分は曲と歌を売りにしてやっていくと思っていたんですけど、その当時のレコード会社の方が「詞も自分で書け」と。それは自分では全く予定にはなかったので。
小倉 そうなの?
岡村 ええ。僕はその当時ユーミンさんや松本隆さんがすごく好きだったので、ああいう方に詞を書いていただいたらすごく素敵なんじゃないかと思ったんですが。それを提案したら「そんなつもりなら歌わなくていい」みたいな感じで言われて。
小倉 じゃあ作っていたデモテープも歌詞はなくてメロディだけだったんですね。
岡村 そうです。僕は詞には全然こだわりなくて、自分がその当時いい詞を書くっていう自信もなかったし。
小倉 じゃあそこから作詞に取り組み始めるわけだ。
岡村 取り組まざるを得ない。でもまあ四苦八苦しましたね。それまで膨大に書き溜めていたわけでもなく、詞を書くための訓練をしたわけでもなく、自分の中で指針があったわけでもない。あるときにボーンと「書け」っていう話になったわけですから。
小倉 そこで新たに詞の重要性を認識し始めて。
岡村 そこは元々認識してます。僕、歌謡曲とかたくさん聴いてますし、詞がこうバツンと入ったときに音楽ってなんて強いものになるんだっていうのはわかってますから、詞がいかに重要かってことはわかってます。ただそれを自分が書くかどうかっていうのは別の話で。自分の心の内を発表するんだみたいな心づもりは全くなかったので、あるとき急にやることになってからの四苦八苦はありました。"
ナタリー - [Power Push] 岡村靖幸